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■民法が変わると敷金の返還はどうなるの?

私はこの春、大学を卒業して一人暮らしを始めようと思っています。4月から民法の一部が変わると聞きましたが不安で一杯です。入居する時に預ける敷金は新しい民法でもちゃんと返してもらえるのでしょうか。たとえば借りる予定のお部屋はとても日当たりがよくて壁紙や畳が日焼けしてしまうと思うのですが、借りた私が壁紙や畳の張り替える費用を負担することになって敷金から精算されてしまうことはあるのでしょうか。

敷金とは、賃貸借契約に基づいて賃借人が負うことになる金銭債務(賃料債務など)を担保するため、賃借人が賃貸人に交付する金銭のことです。賃貸借契約が終了して賃借物が返還された時には、敷金は賃借人に返還する義務が生じます。ただし、その額は受領した敷金の額からそれまでに生じた金銭債務の額を控除した残額であることが改正される民法で明確化されました。また、賃借人にも、賃貸借契約が終了したときは、原状を回復する義務が課せられ、賃借人は、賃借物を原状(元の状態)に戻して賃貸人に返還しなければならないとされています。この原状回復義務の範囲について、一般的に通常損耗(賃借物の通常の使用収益によって生じた消耗)及び経年劣化はその対象に含まれていないと解されています。改正される民法では621条で、賃借人は、賃借物を受け取った後に生じた損傷については原状回復の義務を負うこと、けれども、通常損耗や経年変化(畳の日焼けなども含まれます)については、原状回復義務を負わないことが明記されました。通常損耗に当たるか当たらないかについて、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という基準が国土交通省のホームページで公開されていますので、少しでも疑問に感じたらぜひ目を通してみてください。
敷金についてお困りの方は、お近くの司法書士事務所へおたずねください。

(司法書士 栗原由美)

埼玉新聞 令和2年4月2日から転載

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