■電話で呼び出され呉服を購入してしまった。
私は、先日、呉服屋さんから電話で「一度呉服を見に来てください」とお店に来るように誘われました。暇でしたので「見るだけなら・・」と思い、お店に行ったところ、しつこく呉服を買うように言われました。私は特に呉服は必要ないので「買いません」と断ったのですが、違う担当者が入れ替わったりして勧誘を繰り返され、帰してくれません。
呉服は、お嫁に行くときなどに使用できるし、高価でもあるから持っていて絶対に損はないと言われたり、その他にも呉服の価値の高さを繰り返し説明され、「50万円でどうでしょう。もし自分で必要ないのであれば転売すれば元が取れますよ」と勧誘されました。
それでも必要ないので「お金がない」と言って何度か断りましたが、それなら「クレジットを利用すれば良い」などと言われつつ、かなり長時間勧誘を受けたため、根負けしてしまい、高価だから、万一、必要なくても他に売れば損はないということだから買うことにしました。
しかし、その後、呉服が50万円もの価値がないことを知らされ、騙されたと思いました。何とか、呉服を返して支払ったクレジット代金を返還してもらいのですが?
どうやら、アポイントメント商法により呉服を買わされてしまったようですね。この場合には、消費者保護関連法となる特定商取引法と割賦販売法の適用がありますので、売買契約の取り消しと支払い済のクレジット代金の返還請求が可能です。
割賦販売法では、訪問販売やアポイントメント商法により商品を購入し、その購入代金の支払いにクレジットを利用した場合には、不実(うその事実)の勧誘をされたことを理由に売買契約を取り消したうえで、支払い済のクレジット代金の返還請求ができます。
あなたの場合は、転売すれば元が取れるというように不実の説明をされ、それにより呉服を買ったということがいえるものと思われます。したがって、売買契約を取り消したうえで、支払い済のクレジット代金の返還請求が可能です。ただ、呉服屋さんは「呉服を見に来てください」と自ら呉服屋であることを言っているので、アポイントメント商法といえるか否か争いになる可能性もあります。
詳しくは、お近くの司法書士事務所または埼玉司法書士会(☎048-863-7861)へお尋ねください。
(司法書士 古久根章典)
※埼玉新聞平成29年11月2日から転載