埼玉司法書士会

司法書士は、くらしに役立つ法律家です。

■その残業代、諦めないでください。

 私の勤めている会社は、常に忙しくて、残業せず帰ったり、有給休暇を使うということがしにくい環境です。
 サービス残業が当たり前となっていて、会社に残業代を請求しようとすると、会社の上司ばかりでなく、他の従業員からもいい顔をされませんので、会社でやりにくくならないように、ずっと残業代は諦めていました。
 そのような状況の中、先日、上司から、「君は労働効率が悪く、他の人並み以下の労働しかしていないので、今月から給料を減給する。」と言われたことをきっかけに、我慢の限界を超え、退職を決意しました。
 私は、退職した会社に対して、これまでの残業代の請求をしたいと思っていますが可能でしょうか?

 例えば、あなたがお勤めの会社の労働時間が午前9時から午後6時まで(休憩1時間)と決まっているなら、それを超えた時間外労働があれば、残業代として請求することは可能です。
 ただし、会社が時間外労働について争ってくることが一般的ですので、実際に時間外労働をしたことを証明する証拠が重要です。
 例えば、入社時刻や退社時刻をタイムカードで管理しているなら、そのタイムカードの写しを手元に取得しておいたり、メールで業務報告をしているならメール送信時刻が記載された送信履歴を印刷しておくなどして、時間外労働をしていたことを証明する証拠を残しておきましょう。
 会社と話し合いができず、裁判手続をする場合には、訴訟、調停、労働審判といった手続があります。どの手続を選択すべきか一度相談していただいた方が良いでしょう。諦める前にぜひ一度、相談をしてみてください。解決の糸口が見つかるかもしれません。
 相談したいけれど、司法書士や弁護士といった法律専門家へ支払う費用が心配という方は、「日本司法支援センター」(通称・法テラス)の民事法律扶助制度をご活用ください。
 法テラスの民事法律扶助制度では、資力基準(収入や資産の有無)を満たせば、無料相談を受けられます。訴訟手続などの費用の立て替えも行っています。立て替え費用は、後日分割で法テラスへ償還する必要がありますが、月額5千円程度からの金額設定も可能なため、生活状況に応じて無理のない償還金額を申し込むことが可能です。
 詳しくは、お近くの司法書士事務所または埼玉司法書士会(☎048-863-7861)へお尋ねください。
(司法書士 片桐英夫)

埼玉新聞 令和6年7月4日から転載

各種相談窓口
Copyright(C) 埼玉司法書士会 All Rights Reserved