■トイレの修理業者から高額な請求をされた
トイレが詰まったので、インターネットで修理業者を探し、広告に料金数百円~と記載のある業者に修理をお願いしたところ、作業後に数十万円の高額な修理費を請求されました。支払わなければいけないのでしょうか?
トイレの修理、水漏れ・配管などの詰まり修理、鍵の修理・交換、害虫・害獣等の駆除など、日常生活のトラブルに事業者が対処するサービスにおいて、事業者から高額な作業料の請求を受けたというトラブルが増加しています。国民生活センターなどの相談件数は、2016年度は2437件、2020年度は5882件になり、そのうち、インターネット上の広告がきっかけのトラブルの割合が2016年度は19.2%、2020年度は41.1%となっており、増加傾向にあります。
今回の相談者の対応としては、後日、納得した金額で支払うことを修理業者に伝えて、その場での支払いはきっぱりと断るのが良いでしょう。「現金で支払えば値引きする」など、その場での支払いを求めてくる場合や、支払いが済むまで居座られるケースもあるようです。もし、修理業者の態度に身の危険を感じれば、警察に連絡しても良いと思います。また、支払ってしまった後でも、消費者を保護する法律により、クーリングオフだけでなく、契約の取り消しができる可能性があります。このような業者は、何かしらの法律に違反していることが多いので遠慮する必要はありません。
例えば、料金数百円~という広告を信用して、契約した後、作業後に高額な修理費用を実際に請求されたときは、相談者が数百円に近い金額で修理できると誤認して契約したのであれば、修理業者は、事実でない金額を相談者に伝えて、契約させたとして、契約の取り消しができる可能性があります。契約前に修理業者が便器を外す作業などを行った後、相談者が高額な修理費用の契約を迫られて、契約してしまった場合も、作業後に、トイレの原状回復を困難にしてから契約を迫ったとして、契約の取り消しができる可能性があります。
また、修理業者にクーリングオフをする旨を伝えたときに「お客さまが広告を見て、ご自分で依頼して、われわれが自宅に修理に来たのだからクーリングオフはできない。」と言われても、それは間違いです。相談者は、広告の数百円に近い金額で契約する意思しかなく、実際に請求された高額な修理費用で契約を締結する意思はありませんので、高額な請求でも支払うという相談者の明確な意思表示がない限り、クーリングオフはできるものと考えられます。
業者とこのようなトラブルになったときは、受け取った書面や、トラブルの経緯を整理し、消費生活センターに相談するか、お近くの司法書士事務所または埼玉司法書士会(☎048-863-7861)へお尋ねください。
(司法書士 樋口 隆)
埼玉新聞 令和5年11月2日から転載