■不動産を子供に贈与したい。
そろそろ財産の整理をしておきたいので、不動産を子供に贈与しようと思いますが、名義変更登記の費用はどのくらいかかりますか?
最近は「終活(人生の終わりのための活動)」ブームのせいか、生前に不動産等の財産を子供に渡しておきたいと思う方が増えているようです。ただし、名義変更登記の費用もさることながら、安易に贈与をおこなうことで、思わぬ税金がかかることもありますので、注意が必要です。
まず、名義変更登記の費用ですが、登記時に不動産の評価額(固定資産評価額)の2%相当額の「登録免許税」がかかります。加えて、司法書士に登記を依頼する場合には、司法書士報酬がかかります(報酬は、司法書士ごとに異なりますので、依頼時にお尋ねください。)。その他に「贈与税」や「不動産取得税」が、時には数十万円から数百万円単位でかかる場合があります。ケースによっては、登記に関する費用よりも、これらの税金のほうが高額となりますので、税務署、県税事務所や税理士に、あらかじめ確認をしておいたほうが良いでしょう。また、宅地や建物ではなく田や畑(農地)を贈与する場合には、農業委員会の許可又は届出が必要となります。特に、市街化調整区域内の農地については、子供が農業に従事しない場合、農業委員会の許可が得られないケースもありますので、注意が必要です。
ちなみに、「生前」ではなく、「死後(相続時)」に不動産を子供に渡す場合はどうかと言うと、登記時の「登録免許税」は不動産の評価額(固定資産評価額)の0.4%(生前贈与は2%)相当額である上、「贈与税」と「不動産取得税」はかかりません。農地についても、農業委員会の許可は不要です。ただし、たくさんの財産があると「相続税」がかかる場合がありますので、その点は税務署や税理士に確認をしておいたほうが良いでしょう。
なお、死後(相続時)に不動産を渡す場合でも、「遺言書」を作成することで、渡す子供(相続人)を指定することができます。ただし、遺言書には、自分で作成する「自筆証書遺言」や、公証人に作成してもらう「公正証書遺言」等の種類がある上、作成時には、様々な注意点がありますので、専門家に相談しながら作成することをお勧めします。
詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎048-863-7861)へお尋ねください。
(司法書士 比留間 貢)
※埼玉新聞平成29年12月14日から転載