埼玉司法書士会

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■住まいの終活を考えていますか?

 持ち家に一人で暮らしております。子どもはなく、配偶者に先立たれてしまいました。私の相続人は、おい・めいが想定されますが、遠方に住んでおり、自宅はいらないと言っていることから、自宅の行末が不安です。

 今、空き家が社会問題となっています。入院や施設への入所、高齢者向け賃貸住宅への転居など、これまで生活をしてきたお住まいにご自身が住まなくなることを想定することが必要です。また、ご自身が亡くなった後に、相続人の間で話し合いがまとまらず、相続する人が決まらない場合や相続人全員が相続放棄するなどで相続人がいない場合には、長期間にわたり、管理が不十分な空き家となってしまうことが考えられます。

 建物は人が住まない状態では劣化が早く進みます。そのため、円滑に活用、処分できるよう、ご自身が住まなくなった後を考えることが重要です。今、持ち家を処分し有料老人ホームなどに入所することも選択肢の一つですし、住み続けることも可能です。住み続ける場合には、病気などでご自身の判断能力が低下した場合などに備えて、専門家に財産管理を依頼する財産管理委任契約や任意後見契約の締結をしておくことは有用です。あらかじめ任意後見契約などを結んでおくことで、判断能力が低下した後などの財産管理をあらかじめ専門家に依頼することができます。施設入所した場合などには、自宅不動産を売却することができ、空き家となることも予防できます。

 また、亡くなった場合に備えて、遺言を作成しておくことや死後事務委任契約の締結などの検討も不可欠です。遺言がないと、遺産の分け方で争いが生じるケースや、遺産分割がされず、持ち家などの管理が放置されてしまう可能性があります。遺言の中で遺言執行者を定め、自宅を売却した上で、公益的な活動をする団体や事業に対して遺贈寄付を行うことも考えられます。

 また、財産の相続、遺贈に至るまでの葬儀や納骨、公共料金等の契約の解消など死後に行わなくてはいけないことも多くあります。予め専門家への依頼などを検討して、必要に応じて契約しておくことも重要です。

 大切なお住まいが空き家のまま放置される事態を防ぐために、住まいのこれからについて専門家と相談し、早めの準備を進めることが大切です。

 詳しくは、司法書士へご相談ください。お近くの司法書士事務所は埼玉司法書士会事務局(☎048・863・7861)にてご案内いたします。

(司法書士 吉田 健)

埼玉新聞 令和6年12月5日から転載

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