埼玉司法書士会

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■古い抵当権が残っている!?

 父から相続した土地に抵当権が設定されています。相当昔に登記されたもののようで、抵当権者は個人になっています。この抵当権はそのままにしておいても問題ないでしょうか。もし抹消しなければならない場合にはどうすればよいでしょうか?

 土地に抵当権の登記が残っていると、その土地を売却する場合や、その土地を担保にローンを組む場合に問題となることが考えられます。そのため、そのまま放置せずに、ちゃんと登記を抹消しておくことをお勧めいたします。

 抵当権の抹消登記については、抵当権者と物件の所有者が共同で申請するのが原則です。しかし、古い抵当権ということですので、抵当権者の行方が分からない可能性もあるでしょう。

 そのような場合には、抵当権者の協力なしに抹消登記を申請できることがあります。具体的には、抵当権が設定されてから数十年以上(弁済期から20年以上)が経過しており、抵当権者が行方不明であれば、債権額とその利息・損害金相当額を法務局へ供託することによって、物件の所有者が単独で抹消登記を申請することが可能です。

 実際の手続きに際しては、供託をしたことを証する書面、債権の弁済期を証する書面、抵当権者が行方不明であることを証する書面を用意し、登記申請書を作成して法務局へ登記を申請することになります。

 このうち、債権の弁済期を証する書面については、昭和39年4月1日より前に登記された抵当権であれば、法務局で取得できる不動産の閉鎖登記簿謄本がそれに該当します。行方不明であることを証する書面については、抵当権者の住所地宛に送付したが該当する人がいないため戻ってきてしまった郵便物などが該当します。

 なお、債権額が高額で、現実問題として供託をすることができない場合や、抵当権者の相続人が判明した場合などには、上記の手続きによることはできません。このような場合には、抵当権者の相続人に協力してもらい抹消登記を申請することや、裁判手続きによって抵当権を抹消することなども視野に入れて検討する必要があります。

  いずれの手続きにせよ専門的な知識を要しますので、詳しくは、お近くの司法書士事務所または埼玉司法書士会(☎048-863-7861)へお尋ねください。

(司法書士 小池洋介)

埼玉新聞 令和6年6月6日から転載

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