
■司法書士への訴訟費用が払えない

私の両親が昨年、今年と立て続けに亡くなりました。私は21歳の学生ですが、まだ小学6年生の妹が1人います。今後の生活のため、両親の生命保険の受け取りや預貯金の解約、遺族年金の受給手続などを早めに行いたいのですが、妹に関しては未成年後見人をつけないと手続ができないと言われました。
未成年後見人の選任手続きは、家庭裁判所へ申立てをしないといけないとのことですが、なんだか難しそうで、自分にはできそうにありません。そのため、司法書士へお願いし、書類作成を依頼したいと考えているのですが、私は学生でアルバイト収入しかないため、費用が払えません。こういう場合は、お願いすることはできないでしょうか。司法書士は、公的な仕事だと思うので何か方法があるような気がするのですが。

費用がないからといって、司法書士などの法律専門家にお願いできないということはありません。我が国は法治国家ですから、どなたでも法的な権利を行使することができます。そのための制度もちゃんと用意されています。
それが法テラスの民事法律扶助制度です。法テラスというのは、全ての人と司法を結ぶ架け橋として、誰もが、いつでも、どこでも、法による紛争解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会の実現を理念として設立された公的な機関です。この理念によって用意されているのが民事法律扶助制度というものです。この制度は、比較的収入の低い人(法テラスの資力基準を満たす人)が、法的紛争の解決のために司法書士などの法律専門家に依頼する場合の費用を立て替える制度です。立替えですので後日分割で返す必要がありますが、月額5,000円程度の極めて少額の分割弁済ができる点に特徴があります。
司法書士はおっしゃるとおり公的な仕事ということはできますが、司法書士などの法律専門家は公務員ではありませんから、やはり費用はかかってしまうのです。しかし、この民事法律扶助制度を利用すれば、月々数千円程度の支払いで法律専門家に依頼することができるのです。
法治国家として、全ての人に裁判を受ける権利を保障するために、司法書士などの法律専門家の費用を立て替えるための公的機関が存在しているということですね。
ですから、費用はあまり気にせず、安心して司法書士にご相談ください。詳しくは、お近くの司法書士事務所または埼玉司法書士会(☎048-863-7861)へお尋ねください。
(司法書士 飛鳥井行寛)
※埼玉新聞 平成30年10月4日から転載