埼玉司法書士会

司法書士は、くらしに役立つ法律家です。

■司法書士への訴訟費用が支払えないけど、なんとかお願いしたい。

 私は、先日、会社を退職しました。最後の給料はもらいましたが、残業代が支払われていないことに気づき、インターネットで簡易計算したら80万円程度の金額になりました。さっそく会社に請求しましたが、何かと理由をつけて支払いに応じてくれません。そこで、自分で裁判をしようと思って、裁判所へ行っていろいろ説明を受けたのですが、なんだか難しそうで、出来そうにありません。そのため、法律専門家にお願いしたいと考えているのですが、会社を退職した直後ということもあり、私の収入では生活するのが精一杯で、費用が支払えません。こういう場合は、お願いすることはできないのでしょうか。法律専門家は公的な仕事だと思うので、何か方法があるような気がするのですが。

 費用が支払えないからといって、司法書士などの法律専門家に依頼できないということはありません。我が国は法治国家ですから、どなたでも法的な権利を行使することができます。そのための制度もちゃんと用意されています。
 それが法テラスの民事法律扶助制度です。法テラスというのは、全ての人と司法を結ぶ架け橋として、誰もが、いつでも、どこでも、法による紛争解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会の実現を理念として設立された公的な機関です。この理念によって用意されているのが民事法律扶助制度です。この制度は、比較的収入の低い人(法テラスの資力基準を満たした方)が、法的紛争の解決のために司法書士などの法律専門家に依頼する場合、その費用を立て替えてくれる制度です。立て替えですので後日分割で返済する必要がありますが、月額5,000円程度の極めて少額の分割返済ができる点に特徴があります。
 法律専門家は、おっしゃるとおり公的な仕事ということはできますが、司法書士などの法律専門家は公務員ではありませんから、やはり費用はかかってしまうのです。しかし、この民事法律扶助制度を利用すれば、月額数千円程度の支払いで法律専門家に依頼することができるのです。
 法テラスには、資力基準を満たした方向けの相談の援助制度もあります。相談援助は文字通り相談に対して援助する制度です。相談だけをご希望の場合の相談費用は、相談者の方への負担は一切かかりません。法テラスから司法書士などに相談費用が支払われますのでお気軽にご利用ください。
 詳しくは、お近くの司法書士事務所または埼玉司法書士会(☎048-863-7861)へお尋ねください。

(司法書士 飛鳥井行寛)

※埼玉新聞平成29年10月5日から転載

 

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