埼玉司法書士会

司法書士は、くらしに役立つ法律家です。

■司法書士へ労働審判手続申立書の書類作成を依頼したいのですが、報酬や費用が払えません。

 私は2ヶ月前に会社を辞めましたが、退職金を払ってもらえません。会社の言い分は、私が会社に損害を与えたのだから、退職金と相殺するというもので、何度か会社と電話で交渉をしましたが、らちが明きません。今後の生活費や次の仕事のことを考えると、あまり時間をかけずにこの問題を解決したいので、比較的早く解決できそうな労働審判の申し立てを裁判所にしたいと思っています。ただ、申立書類は専門的で難しいので、その書類作成は司法書士に依頼する予定ですが、現在は収入がほとんどないので、依頼する報酬、費用を支払うことができません。どうにかならないでしょうか。

 「日本司法支援センター」(通称・法テラス)の民事法律扶助制度を御存知でしょうか。司法書士や弁護士といった法律専門家に手続きを依頼する際には、着手金や報酬を支払って依頼することが一般的です。しかし、着手金や報酬をすぐに支払えないからといって、必ずしも依頼できないということはありません。法テラスは、法律専門家への費用の支払いが難しい方にも法的支援を行えるよう設立された公的な機関です。

 法テラスの民事法律扶助制度では、司法書士や弁護士が無料相談を行うとともに、具体的な法的手続きを司法書士や弁護士に依頼する際の費用立替えも併せて行っており、「裁判を受ける権利」を実質的に保障する制度として、現在では、全国で多くの方がこの制度を利用しています。

 この制度を利用するには、法テラスが定めた資力基準(収入や資産の有無)を満たすことが必要となりますので、必ずしも全ての方が利用できるわけではありませんが、この資力基準も同居の家族の人数等により要件が緩和される等、柔軟に設計されていますので、まずは無料相談をお申し込みになり、相談していただくとよろしいと思います。司法書士や弁護士の立替費用については、後日分割で法テラスへ償還する必要がありますが、月額5千円程度からの金額設定も可能なため、生活状況に応じて無理のない償還金額を申し込むことが可能です。

 ですから、費用はあまり気にせず、安心して司法書士にご相談ください。詳しくは、お近くの司法書士事務所または埼玉司法書士会(☎048-863-7861)へお尋ねください。

(司法書士 飛鳥井 行寛)

埼玉新聞 令和3年11月4日から転載

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