■外国人のマイホーム購入
私の配偶者は外国人です。夫婦でマイホームの購入を検討しています。外国人が日本の土地や建物を取得することはできますか?
外国人も売買や贈与、相続等によって日本国内の不動産を取得することが可能です。もちろん、不動産の所有権や共有持分を取得すれば、所有権移転登記を申請し、所有者や共有者として登記を受けることができます。また、新聞等で報道されているように、外国会社や外国在住の外国人が投資目的等で日本の不動産を購入することができます。ご質問はご夫婦がマイホームを購入するとのことですので、外国人である配偶者も日本に住所を有することを前提にしてお答えします。
住宅の登記に関する優遇措置についてですが、居住用の建物が一定の要件を満たす場合には、登記申請時に納付する登録免許税に軽減税率が適用されます。これは、日本人も外国人も同じです。
次に、住宅ローンについてですが、司法書士の日常業務でも、永住者や日本人の配偶者等であって、安定した所得のある外国人が、住宅ローンを利用して住宅を購入する場面があります。そのため、外国人であっても、住宅ローンを組める可能性はありますので、住宅ローンによる購入をお考えなら、配偶者がローンを利用できるか、金融機関に相談されるとよいでしょう。
なお、所得税のいわゆる住宅ローン控除など税制上の優遇措置も日本人と基本的に同様です。詳しくは税理士等の税務の専門家にご相談ください。
ここまで、不動産の取得と登記に関して、国籍による差異がないことを説明しました。
最後に、ご注意していただきたいことは、外国人の配偶者が、マイホームを取得後に亡くなった場合です。この点は、国籍により異なる部分となっています。一般論としては、所有者がお亡くなりになり、相続が発生した場合には、被相続人(お亡くなりになった方)の本国法が適用されます。誰が相続人なのか、相続分や遺産の分割方法も、本国法によって定まります。ただし、本国法に、不動産の相続については不動産所在地の法律を適用する旨の規定がある場合には、日本法に従うことになります。
まだまだ先の将来のこととは思いますが、ご自身やお子さんたちのためにも、配偶者の本国法について調べてみてはいかがでしょうか。
詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎048・863・7861)へお尋ねください。
(司法書士 大熊俊泰)
※埼玉新聞平成29年8月3日から転載