埼玉司法書士会

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■家賃が払えず裁判所から訴状が届いた

私は、昨年まで働いていましたが、病気がちになり、新型コロナウイルスによる事業縮小の憂き目にあい離職しました。預金も尽き、アパートの家賃を6か月間滞納してしまいました。すると、裁判所から大家を原告とし立ち退きを求める訴状が届きました。どのように対応したらよいでしょうか。また、今後の生活再建に向けたアドバイスもいただきたいです。

コロナ禍による各種産業への打撃により、離職をされる方の相談が増えています。それに伴い家賃の滞納の相談も増えています。
ご相談の件につきましては、まず、①訴えられた訴訟への対応が必要です。訴状を受け取ったのに何もせず放っておくと、欠席判決といって、原告の請求が全て認められてしまいます。強制執行されて強制的に立ち退きさせられかねませんので、急いで法律家に相談してください。家賃滞納があっても直ちに立ち退きを請求することが妥当とされないケースもあります。住居確保給付金を利用したり、少しずつ分割払いにしてもらうなど大家と交渉して、立ち退きを回避することができるかもしれません。立ち退かなければならないとしても、明渡しまで猶予期間をもらったりすることができる場合もあります。
②立ち退きがやむなしとされる場合は、転居先の確保が最重要です。昨今では保証会社による保証の形態をとる賃貸も多く、今滞納している保証会社では受け付けないということもあります。転居先の家賃の支払いを継続できるか試算しなければなりません。住居確保給付金の利用も検討しましょう。また、コロナ禍で仕事を失った方などを対象に期限付きで県営住宅の提供を行う県の事業を利用できる場合があります。
③生活再建のためには職に就くことが考えられますが、ご病気の状況によりすぐには働けないということもあるかと思います。その場合は、病気の態様により他に行政等から支給される制度はないか確認し、つなぎの生活費として社会福祉協議会の緊急小口資金や総合支援資金の利用も検討しましょう。それでも立ち行かない場合は、生活保護の申請をし、生活費を確保してください。転居先への引っ越し代なども生活保護費で支給されます。
④未払い家賃の他にも借金があったり、携帯電話代や光熱費の滞納があったりする場合には、債務整理を検討しましょう。税金や国民健康保険税の滞納の場合には、減免制度等の適用がないかも確認が必要です。
詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎ 048・863・7861)へお尋ね下さい。
(司法書士 大島俊哉)

埼玉新聞 令和3年5月13日から転載

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