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■市役所から実家の空き家の管理を要請された

 私は今年82歳になりますが、実家のある地の市役所から、空き家となっている実家の管理を要請する通知が突然届きました。実家は兄が相続したはずですが、兄の死亡後、兄の妻子が相続放棄をしたとのことで、兄の兄弟である私に市役所からの通知が届いたようです。私は何をしたらよいでしょうか? 

 実家の不動産など住む人がいなくなった空き家は年々増加しており、社会問題となっています。空き家は雑草が伸び放題になったり、野生動物が住みついたり、放火等の危険があるなど、衛生上・防犯上などの問題があり、適切に管理する必要があります。

 あなたは、お兄さんの妻子が相続放棄をしたことにより、お兄さんの法定相続人となられたため、市役所から通知が届いたのですね。

 この場合、あなたはお兄さんの遺産(実家の不動産を含む)を相続することもできますし、相続を放棄することもできます。今回は、お兄さんの妻子が既に相続放棄をしているとのことですので、お兄さんに借金などがないかを調べて、慎重に判断してください。

 あなたが相続放棄を希望する場合は、手続きに期限があります。お兄さんの妻子が相続放棄をして、あなたがお兄さんの相続人となり、遺産があることを知ったときから3カ月以内であれば、家庭裁判所で相続放棄の手続きを取ることが可能です。ただし、相続放棄をすると、不動産だけでなくお兄さんの遺産の一切を相続できないことになりますので、注意が必要です。

 次に、お兄さんの遺産を相続する場合ですが、実際に管理可能であればご自身で実家の草刈りをしたり、業者に依頼したりするなど、衛生上・防犯上の問題の解決に努めてください。

 また、お兄さんから相続した不動産を売却したり、他人に貸したりすることも考えられます。市町村によっては、不動産を売りたい(貸したい)人と買いたい(借りたい)人をつなぐ「空き家バンク」を設置しているところもありますので、実家のある地の県や市町村のホームページも参照してみてください。

 (司法書士 青木輝美)

埼玉新聞 令和4年7月7日から転載

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