■成年後見人になるにはどうしたら良いですか?
私のおば(母の妹)は独り身なのですが、認知症が進行したため、ここで特別養護老人ホームに入所することになりました。こういった場合、私がおばの成年後見人になれば、おばの代わりに預貯金をおろしたり、施設や病院の費用を支払ったりできると聞きましたが、成年後見人になるにはどうしたら良いですか。
成年後見人を選んでもらう手続き(成年後見開始の申し立て)は、原則、おば様の住民票の所在地を管轄する家庭裁判所に、申立書を提出して行います。申立書には、おば様やあなたの住所、氏名、生年月日や申立てを行う理由等を記載し、戸籍謄本や住民票とともに提出します。それ以外にも、おば様の健康状態や介護状態についての診断書や情報シート、親族の意見書、財産目録、月々の収支予定表等も提出します。また、申立ての費用として、収入印紙代と郵便切手代が1万円前後かかります(事情によって、裁判所指定医師による「鑑定」のための費用がかかる場合もあります)。
申し立てを行うと、家庭裁判所が書類を審査し、おば様やあなたに面談するなどした上で、成年後見を開始するかどうか、開始する場合は誰を成年後見人に選ぶかを決めます。ただし、家庭裁判所は、さまざまな事情を考慮して成年後見人を選びますので、必ずしもあなたが選ばれるとは限りません。場合によっては、司法書士や弁護士、社会福祉士などの専門家が選ばれることもあります。
成年後見人に選ばれた人は、家庭裁判所に対して定期的に報告書(おば様の財産・収入支出の状況や生活状況等に関する報告書)を提出し、チェックを受けます。また、必要に応じて報酬を請求することができ、家庭裁判所が決める報酬額(専門職の場合で月額2万円~、金額は管理財産の金額などにより異なるようです)を、おば様の財産の中から受け取ります。
申立書類の作成が難しい場合、司法書士に書類の作成を依頼することができます。なお、司法書士費用の支払いが心配な方は、日本司法支援センター(通称・法テラス)の民事法律扶助制度もご検討ください(収入や資産の状況により、法テラス契約司法書士に依頼した場合の費用を分割払いとすることができます)。
詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎048・863・7861)へお尋ねください。
(司法書士 比留間 貢)
埼玉新聞 令和6年5月2日から転載