埼玉司法書士会

司法書士は、くらしに役立つ法律家です。

■成年後見制度の活用

 私には障害を持った子供がいますが、私がいなくなった後の子供のことが心配です。成年後見制度というものがあると聞きましたが、どのような制度でしょうか?また、成年後見人が付くとどのようなことをしてくれるのでしょうか?

 成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などの精神上の障害によって判断能力が低下した方に、その方の権利を守るため成年後見人等を選んで本人を支援する制度です。判断能力の低下の状態に応じて、補助、保佐、後見の3つの類型があります。判断能力が不十分な(財産管理等を大体自分でできるが難しいことでは援助が必要なことがある)場合は補助、判断能力が著しく不十分な(財産管理等を常に誰かに援助してもらう必要がある)場合は保佐、判断能力を欠く常況にある(財産管理等を自分ではすることができない)場合は後見にそれぞれ該当します。

 後見制度を利用する場合は、管轄の家庭裁判所へ後見等開始の審判の申立てをします。本人の主治医等に所定の診断書を書いてもらい、補助・保佐・後見のどの類型で申立てをするのかの判断の目安とします。

 成年後見人は、本人の意思を尊重し、かつその心身の状態や生活状況に配慮しなければなりません(民法第858条)。よって、本人に必要な介護契約その他の福祉サービス契約を締結するなどして、本人の身上保護に配慮して生活面を支援しますが、成年後見人自らが身の回りの世話をしたり介護行為をすることは成年後見人の職務ではありません。

 また、成年後見人は本人の財産を管理します(民法第859条)。よって、年金などの定期収入・生活費や施設利用料などの定期支出の管理、必要な預貯金の入出金や財産の処分を行います。本人が誤った判断に基づいて高価な商品を買ってしまった場合などには、成年後見人はその契約を取り消すことができます。このようにして、成年後見人は本人の利益を守るよう本人を支援します。

 補助・保佐の場合は、後見と違い当然に前述のような代理権が与えられるわけではなく、必要なことについて本人の同意を得て別途、家庭裁判所の審判により代理権(補助においてはかつ同意権)を付与してもらった上で本人を支援します。

 詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎048・863・7861)へお尋ねください。

 (司法書士 山賀 里美)

埼玉新聞 令和4年6月9日から転載

各種相談窓口
Copyright(C) 埼玉司法書士会 All Rights Reserved