■特別な寄与料を請求したい
義母(夫の実母)が亡くなりました。義母とは生前同居しており、特に介護が必要だった訳ではありませんが、持病の薬をもらうため、月に2、3回は私が病院へ車で連れて行っていました。もちろん毎日の食事も私が作っていました。民法が改正されて、このような看護をしていた場合、相続人以外でも遺産を受け取れるようになったと聞きましたが、私にもその権利はあるのでしょうか。
被相続人の生前に、相続財産の維持または増加につながるような何らかの貢献をしたことを「寄与」といいます。寄与をした相続人は、遺産分割に際し、相続財産の中からその「寄与分」を受け取りたいと請求することができます。
例えば、被相続人が要介護の状態であり、本来なら介護施設に入所すべきところ、身内が世話をしたことによりその費用が節約できた場合、相続財産の維持に貢献したことになるので、その分を寄与分として請求することができます。
今までは相続人のみ認められていましたが、民法改正により相続人以外の親族も相続開始後、相続人に対し寄与に応じた額の金額(特別寄与料)を請求できるようになりました。
特別寄与料を請求するには、まず相続人と協議をします。協議が整わない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
療養看護による特別寄与料が認められるには、
①介護が必要な状態であること(目安として「要介護度2」以上)
②無償であること(報酬をもらっていない)
③継続性があること(1年以上が目安)
④専従性があること(片手間でない)など、かなり困難です。
今回のケースでは、病院への送迎や食事の世話等は親族間における生活援助の範囲内であると考えられ、又被相続人は要介護の状態ではなかったとのことから、療養看護による寄与分が認められる可能性は低いものと思われます。
争いの火種とならぬよう、特別寄与料を請求する際には、慎重な姿勢が必要かと思われます。
相続人以外の親族等に面倒を見てもらっている場合には、面倒を見てもらった方に財産を残す旨の遺言をしておく等の配慮も大切です。
詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎048・863・7861)へお尋ねください。
(司法書士 髙地祐介)
埼玉新聞 令和2年9月3日から転載