埼玉司法書士会

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■相続登記が義務化されました!

 5年前に私の父が亡くなりましたが、実家は父名義のままです。相続登記が義務化されたと聞きましたので、それについて詳しく教えてください。

 不動産(土地や建物)はその所有者が亡くなると相続人が相続することになり、亡くなった所有者から相続人へ不動産の名義を変更する必要があります(これを相続登記といいます)。しかし、これまでは相続登記は義務ではなく、相続登記をする、しないは自由でした。そのため、相続登記をしないまま放置するケースも少なくなく、相続登記の放置によって所有者が不明な土地や空き家が全国的に増加し、周辺の環境悪化や民間取引・公共事業が阻害されるなどの社会問題となっていました。そこで、法律が改正され、令和6年4月1日からいよいよ相続登記の義務化がスタートしました。
 具体的には、相続(遺言も含みます)によって不動産を取得した人は、それを知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があります。そして、正当な理由なくこの義務に違反した場合は10万円以下の過料が科されることがあります。なお、ご相談のケースのように、令和6年4月1日より前に相続が開始している場合は、令和6年4月1日から3年以内に相続登記をする義務があります。
 相続には、相続人が1人のみの場合と相続人が複数の場合があります。相続人が複数の場合は、その法定相続分で相続人全員の名義にする(これを法定相続登記といいます)こともできますが、遺産分割協議を行って、相続人のうちの誰かの名義にすることが一般的です。しかし、遺産分割協議は相続人全員の意見が一致しないと成立しません。様々な事情により遺産分割協議が進まないこともあります。そのような場合は、相続登記とは別の相続人申告登記という簡易な手続が用意されており、その手続をとることで義務違反を免れることができます。
 相続登記をしないまま長年経ってしまうと、相続人が亡くなることにより第2、第3の相続が始まってしまい、遺産分割協議を行うべき相続人の人数が増えたり、相続人間の関係性が希薄となり、ますます相続登記をすることが複雑困難となりかねませんので、なるべくお早目にご対応ください。
 相続登記をしない正当な理由とは何か?各ケースにおける相続人とは誰か?などは紙面の都合上ここでは紹介しきれませんので、詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(電話048・863・7861)にお尋ねください。
(司法書士 上松隆行)

埼玉新聞 令和6年4月4日から転載

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