埼玉司法書士会

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■知らない間に会社が解散していた

法務局で自分の会社の登記簿謄本を取ったら解散と記載されていてビックリしました。解散の手続きをした覚えもありませんし、これはいったいどういうことでしょうか?

それはいわゆる『みなし解散』です。株式会社で最後に登記をしてから12年が経過している場合、法務局から通知書が届きます。この通知書が来た場合で、まだ事業を継続している場合には「まだ事業を廃止していない」旨の届出を法務局に提出する必要があります。もしこの届出を期限までに提出しなかった場合には、解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をします。

直近で言いますと、2018年10月11日の時点で最後の登記から12年を経過している株式会社には通知がなされ、同年12月11日までに「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしなかった場合には同年12月12日付で解散したものとみなされました。

おそらく、相談者の株式会社は12年間に何も登記をせず、しかも法務局からの通知も無視していたと思われます。では、会社を続けているにも関わらずみなし解散の登記がされたらどうしたらいいでしょうか。会社継続の登記をする必要があります。

会社の機関設定によって手続きが変わりますが、大まかな流れを説明します。この登記をする手順として、まず株主総会を開いて会社継続の決議をする必要があります。また、ほとんどの場合は取締役や監査役などの役員の任期が切れていることと思われますので、役員の選任をし、他に必要に応じて定款変更の決議もします。登記の手続きとしては、みなし解散により取締役が退任していますので、まず清算人と代表清算人の登記をします。そして会社継続、役員変更などの登記をします。清算人等の登記と会社継続、役員変更などの登記は同時に申請することができます。

ただし、会社継続の登記ができる期間はみなし解散の登記がされてから3年以内に限ります。また、みなし解散から会社継続の登記をした場合でも、登記を怠っていたとして裁判所から過料の通知が来る可能性があります。

詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎048・863・7861)へお尋ねください。

(司法書士 高橋護)

※埼玉新聞 令和元年5月9日から転載

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