埼玉司法書士会

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■空き家の放置はしかたがない事?

数年前亡くなった父親名義の家があるのですが、母は既に他界、私も含めた3人の子どもたちは既に独立しており、いわゆる「空き家」となっています。兄弟で話し合い、いずれ相続の手続きをしなければ・・・と思いつつ、諸経費や手間を考えてしまい、ついそのままにしたまま現在に至ります。固定資産税だけは取りあえず私が支払っている状況ですが、今後何か不利益はないでしょうか。

近年、相続登記の未了のため、登記簿から直ぐに所有者が明らかにならない所有者不明の不動産が問題となっています。そのため、今年の4月には、法律が改正され、相続登記の義務化が決まりました。この法律は、3年以内に施行が予定されており、法律が施行されると亡くなってから3年以内に相続登記などを行うことが義務化されました。改正前の相続にも適用されますので、相続登記をしないままですと、義務違反として過料が課されることもあり得ます。

また、管理不全の空き家が非常に増えており、衛生面、防犯面から問題となっています。2015年には、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が制定され、空き家の管理を怠り、長期間放置され、今にも朽ち果てそうな状態で放置し、近隣などに悪影響を及ぼす恐れがある場合には、行政が「特定空家」として認定できるようになりました。特定空家に認定された場合には、固定資産税の住宅用特例が適用されなくなり、空き家宅地の固定資産税が4~6倍になります。そして、そのまま放置した場合には、行政が強制的に撤去し、かかった費用を持ち主に請求できる「代執行」も可能となっています。

まずは、兄弟で話し合いをして相続手続きをするとともに、空き家を使用するめどが立たない場合は、売却などの検討を行い、なるべく早く対策を取るようにしましょう。

詳しくは、お近くの司法書士事務所または埼玉司法書士会(☎048・863・7861)へお尋ねください。

司法書士 杉田 裕介

埼玉新聞 令和3年6月3日から転載

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