
■経営者のための会社法務(Vol.10)~会社の事業承継について取り組みを始めてみませんか。~
経営者の皆様は、将来ご自身の会社をどう次世代に承継するのか、お考えになったことはありますか?
もしも、経営者の皆様が体調を崩されたり万が一のことがあった場合には、会社の経営は後継者として予定されているお子様や番頭格の方などが「何とかしてくれるだろう」とお考えの方もおられると思いますが、これまでどおりの会社経営を継続することは、現実的にはなかなか厳しい面もあると思います。
そのために、経営者の皆様が元気でおられるうちに、事業承継について準備を進めていただくことが必要となります。
中小企業庁の統計や新聞の記事などによれば、社会全体の事業承継が進まない要因としては、
・「社長である自分自身は元気なのでしばらくは大丈夫」
・「いつか事業承継の準備を始めようと思ってはいるが、今は業務が忙しく、事業承継を進めている余裕がない」
・「事業承継といっても、やることが多すぎてどこから手を付けたらよいのかわからない」
・「事業承継について誰かに相談したいが、どこに相談したらよいかわからない」
など、経営者の皆様が感じておられる様々な理由があるといわれています。
一方で、事業承継を行う目的は会社の経営の継続やご自身を含めたご家族の将来の生活、従業員の方の雇用の継続、取引先への影響など様々なものがあります。
とりわけ、経営者である皆様が永い年月をかけ苦労して作り上げてこられた「優れた技術力」や「独自のノウハウ」などの貴重な経営資源を次世代に承継することで、将来皆様が経営から退いた後も「会社は生き続ける」ことができます。そして、そのことによって、地域経済や地域社会が維持され、結果として将来の日本経済を支え、グローバル化した国際社会の中で、日本の国力低下を防ぐことにつながっていくのです。
大変な労力と時間が必要といわれている事業承継の手続きにおいて、私たち司法書士が得意としていることは、特に「各種株式の活用や、民事信託、事業譲渡、個人保証の引継ぎ」などのサポートがあります。また、自社株評価や贈与、相続税対策などの分野については税理士の方など、司法書士間のネットワークを駆使しつつ、各専門家と連携しながら、最善策の提案をさせていただきます。
経営者である皆様の「会社への思い」や、「将来のご希望、ご不安」をお受けし、次世代につなげるサポートをさせていただくのが私たち専門家の使命です。
皆様の日々の業務においては、経営上の課題が山積しておられるかと思いますので、ご自身お一人では事業承継を進めている余裕はないかと思われます。そのため、私たち専門家にご相談いただき、効果的なサポートを受けながら進めていただくのが良いのではないでしょうか。
ぜひ、事業承継についてお考えいただき、対策に取り組んでいただきたいと思います。
なお、相談先については顧問税理士の方や商工会議所などの他、埼玉司法書士会越谷総合相談センター(詳しくは埼玉司法書士会のホームページをご覧ください。)でも相談を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
(司法書士 新井健二)
※越谷商工会議所会報「鼓動」 令和5年3月1日から転載