■街頭アンケートに気を付けよう
先日、大学生の娘が街頭で「化粧品に関するアンケートに協力してください」と声をかけられました。無料のサンプル品がもらえるというので、近くの喫茶店までついていったところ、言葉巧みに勧められ、契約を結び、10万円もする化粧品を購入してしまいました。クーリングオフという制度があり、8日以内であれば解約できると聞きましたが、もう2週間が経ってしまっています。何か契約を取り消す方法はないでしょうか。
クーリングオフとは、契約後一定の期間内であれば、無条件で契約を解除できる制度のことを言います。本件のような、キャッチセールスの場合には、このクーリングオフが認められ、「適式な法定書面」(例えば、売買契約書など)を受け取ってから、8日以内であれば、契約の取り消しを主張することができます。従って、契約から2週間が経過していたとしても、娘さんがこの「法定書面」を受け取っていなければ、8日間の期間は起算されないので、クーリングオフを主張し、契約を取り消すことは可能です。また、仮に何らかの書面を受け取っていたとしても、それが適式なもの、すなわち、法律に定める項目が全て虚偽なく記載された書面でなければ、「適式な」法定書面を受け取っていないこととなり、この場合も同様に、クーリングオフによる契約の取り消しが可能です。
さらに、クーリングオフ以外でも、娘さんが未成年者(現在は20歳未満ですが、2022年4月1日からは18歳未満になります)であれば、化粧品の購入に親権者の同意がないということを理由にして、売買契約を取り消すことができます(未成年者取消権)。
また、商品を売りつけることが目的のキャッチセールスと異なりますが、街頭でアンケートを求められ、アンケートに協力すると、その謝礼を振り込むという口実で、「氏名」「住所」「電話番号」に加え、「銀行口座番号」や「暗証番号」などの個人情報を聞き出すといった巧妙な手口も見受けられます。キャッチセールスや街頭アンケートは、特に若い世代が狙われる傾向にあります。日頃から、個人情報を不用意に他人に教えないよう、家族同士で確認し合うことが大切です。詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☏048・863・7861)へお尋ねください。
(司法書士・岸孝幸)
埼玉新聞 令和3年3月4日から転載