■裁判以外の解決方法を教えてください
私は学生時代に、ある友人に50万円を貸しましたが、返してもらえず困っています。卒業後は、お金を返してもらえないまま、連絡も取れない状態になりました。ところが最近、偶然彼と同窓会で再会しました。その際、以前貸したお金を返してほしいと伝えたのですが、まともに取り合ってくれません。彼とは幼なじみであり、彼と遊んだ楽しい思い出がたくさんあります。お金を貸したのも、彼を信用してのことでした。お金は返してほしいですが、彼との関係まで壊したくありませんし、裁判までするのも気が引けます。何か良い解決方法があれば教えてください。
ご相談ありがとうございます。ご友人にも何かご事情があるのかもしれませんね。裁判以外の手続きとしては①当事者の話し合いによる方法②司法書士など資格者に代理人になってもらい相手方と交渉してもらう方法③調停による方法、これらが解決方法として考えられます。
これまで築いた関係性まで壊したくないとのことですので、今回は調停での手続きをご紹介したいと思います。調停には裁判所の調停と民間の調停があり、どちらも調停を行う人(裁判所の場合は「調停委員」、民間の場合は「手続実施者」)があなたと友人の間に入り、双方の話し合いによって問題の解決を目指します。
埼玉司法書士会には法務省の認証を取得した「埼玉司法書士会調停センター」が設置されており、価額が140万円以下の民事に関する紛争を取り扱っています。今回のご相談内容は、50万円の金銭の貸し借りに関するものですので、当センターで取り扱うことができます。当センターの調停と裁判所の調停とで大きく異なる点は、当センターの調停は、具体的にどのような内容で解決するかを当事者自身が考えて決める、という点です。
当センターでは、話し合いを支援するためのトレーニングを受けた司法書士が、手続実施者として話し合いの進行役を務め、中立の立場で当事者双方の思いや考え方をお聞きし、事情を整理しながら、話し合いがスムーズに進むようにサポートします。そうすることで法律に縛られず、自分たちに合った解決内容を当事者同士で見つけることができます。
詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎048・863・7861)へお尋ねください。
(司法書士 荒谷直樹)
埼玉新聞 令和4年3月3日から転載