埼玉司法書士会

司法書士は、くらしに役立つ法律家です。

■話し合いによる解決

 私はアパート経営をしています。今回契約期間が終わり、借主が退去することとなりましたが、原状回復のことでもめています。金額はたいした額ではないのですが、借主がその内容についてなかなか納得してくれません。どのように解決したらよいでしょうか。

 原状回復のトラブルについてのご相談はよくあります。トラブルの解決方法としては、当事者の話し合いによる方法、司法書士など専門家に代理人になってもらい相手方と交渉してもらう方法、民間や裁判所の調停による方法、そして裁判、これらが解決方法としてあります。今回は、民間の調停による方法として当会の「はなしあい解決支援センター“いっぽ”」についてご紹介します。

 当会の「はなしあい解決支援センター“いっぽ”」は、以前は「調停センター」という名称でしたが、利用される方に当センターの手続をより分かりやすいものとしたいことから変更しました。

 当センターは、2014(平成26)年6月16日に法務省の認証を取得し、価額が140万円以下の民事に関する紛争を取り扱っています。

 当センターの手続は、当事者双方が自主的に紛争を解決するためのもので、特徴としては当事者双方が同席して交互に話し合いをし、当事者自身がどのように解決をするかを自分たちで決める、という手続です。われわれ、司法書士は手続実施者(調停人)として、当事者の話を聴きながら、当事者が解決しなければならないポイントや、トラブルとなった原因などを整理して、当事者が解決方法を見つけるためのお手伝いをします。

 特にこの手続では、①調停人が話をしっかり聴きますので、ご自身が考えていることや感じていることを安心してお話しいただき、自分たちでどのように解決するかを考えること②相手が話をしている時には、しっかりと相手の話の内容を調停人と一緒に聴いていただくこと③相手を非難、批判する言葉はなるべく避け、どうしたらもっとより良くなれるかをお互いに考えていただくこと、この3つのことを大切な約束事として当事者の方に守っていただいています。

 実は「話し合い」での解決は、お互いの話の「聴き合い」でもあります。相手が話した内容を聴いて、ご自身としてはどう感じたか、どう考えたか、それを素直にお話しいただき、相手にもしっかり聴いていただく。それを繰り返すことで、お互いに解決のためのより良いアイデアが生まれてくるものと思います。

 詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎048・863・7861)へお尋ねください。

(司法書士 岡村真志)

埼玉新聞 令和4年12月8日から転載

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