■遺言書の種類って?
遺言書には自筆証書と公正証書があり、また、法務局で遺言書を預かってくれる制度もあると聞きました。どのような違いがあるのでしょうか?
民法に定められた遺言書の種類には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
「自筆証書遺言」は、自分1人だけで作成することができ、費用もかからないので簡単に作成できます。しかし、財産目録以外の全文、日付、氏名を自書しなければならず、訂正方法も定められており、内容に不足なく明確なものを作成することはなかなか大変です。紛失や改ざんなどの恐れも考えなければなりません。また遺言者の死亡後は、相続人などが家庭裁判所で検認という手続きをする必要があります。
「公正証書遺言」は、遺言者が公証人に対して遺言の趣旨を述べ、これを公証人に公正証書として文書化してもらう遺言です。費用はかかりますが、専門家である公証人が作成するので不適切な内容となることはありませんし、死亡後の家庭裁判所の検認手続きも不要なので、スムーズな相続手続きが可能です。
「秘密証書遺言」は、自分で自書した遺言書に封をして、内容は秘密にしたまま遺言書の存在だけを公証役場で認証してもらう遺言書ですが、実務上はほとんど利用されていません。
法務局における「自筆証書遺言書保管制度」は、自筆証書遺言をデータ化して法務局が保管してくれる制度です。こちらも死亡後の家庭裁判所の検認は必要ありません。しかし、遺言者本人が管轄の法務局に出向かなければなりませんし、遺言書の内容をチェックしてもらうことはできません。
このように遺言書にはいくつか種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。また、作成方法だけではなくどういった内容にするかも重要です。遺言書作成でお困りの際は、ぜひ司法書士へご相談ください。
詳しくは、近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎048・863・7861)へお尋ねください。
(司法書士 三浦和子)
埼玉新聞 令和6年1月11日から転載