■離婚に伴う養育費の取り決めについて
離婚を考えています。パート勤務をしており、小学生の子どもが2人います。離婚後、私が子どもたちを引き取る予定ですが、現在の私の収入だけでは3人で生活することは難しいと思われ、離婚後の生活が不安です。どのような点に気を付けて離婚の話を進めたらいいでしょうか。(30代女性)
離婚後、育児・家事・仕事をしながら生活をしていくことはとても大変ですし、不安は大きくなるばかりですね。
収入が安定していないなどの理由により離婚後の生活費が不足することが見込まれる場合、大事なのは養育費の確保です。養育費とは、未成熟子が独立の社会人として自立するまでに要するすべての費用を指します。親は子どもに対して自身の生活と同程度の生活を保障する義務があります。自身の生活費を確保して余力があれば負担するという性質のものではなく、共に暮らすことがかなわなくなった後でも、子どもの養育費を負担するのは親の役目です。
しかし、話し合いがしにくい状況であったり、離婚を急ぐあまり、養育費の取り決めをせずに離婚届を出してしまうケースが少なくありません。お子さんのため、ご自身のためにも養育費は必ず考えていただきたい問題です。離婚後に相手方と養育費の取り決めを行うことは実際のところ簡単ではないからです。
令和4年国民生活基礎調査(厚生労働省)によると、母子家庭の75.2%の方が、生活が苦しいと感じています。たとえ養育費の取り決めをしても、約半数が相手方から支払いを受けていないというのが、残念ながら今の日本の状況です。
継続的に支払いを受けるためには、養育費の取り決め方がとても重要です。口約束や私文書ではなく公正証書にするなど注意点がいくつかあります。相手方と直接話をすることが難しい場合は、裁判所の手続きを利用することもできます。また、離婚前の生活費を相手方が負担していない場合は、生活費の請求(婚姻費用の請求と言います)をあわせて行うことを考えるべきです。
裁判所の手続きを利用して、養育費の支払いなどに関する取り決めを行いたい場合、司法書士は、裁判所へ提出する調停申立書などの書類作成を通してお力になることができます。詳しくは埼玉司法書士会(☎ 048・863・7861)へお尋ねください。
司法書士 髙橋円
埼玉新聞 令和5年9月7日から転載