■ADR(裁判外紛争解決)
私は友人に20万円を貸しましたが、借用書などはもらっていません。友人は返してもらう予定の日になっても、色々と理由を付けて返してくれません。私としては大事な友人なので裁判とかは考えていませんが、私にも事情があることから返して欲しいと考えています。先日法律相談に行ったら、ADRというものがあると聞きました。ADRとは何ですか。
大切なご友人との関係でお困りになっていらっしゃるのですね。確かに裁判には証拠資料が必要でしたり、必ずしも納得できる結果になるとは限りません。
ADR(裁判外紛争解決)は裁判以外の紛争解決のことを言い、個人間の直接交渉、第三者を交えた交渉や調停(裁判所や民間事業者)など色々とあります。
今回は民間事業者の調停として、当会の「はなしあい解決支援センター“いっぽ”」についてご紹介します。当センターは、2014(平成26)年6月16日に法務省の認証を取得し、価額が140万円以下の民事に関する紛争について取り扱っています。
当センターの一番の特徴は、当事者双方が同席して交互に話し合いをし、当事者自身がどのように解決をするかを自分たちで決めることができる、というところで、ここが裁判とは大きく異なる特徴です。
私たち司法書士は手続実施者(調停人)として、当事者の話を聴きながら話し合いの進行を行い、当事者が解決しなければならないポイント、トラブルとなった原因やそれぞれのご事情などを整理して、ご自身が解決方法を見つけるためのお手伝いをします。
特に相手の方があなたのように大切なご友人であったり、関係性を壊したくないような方とのトラブルには良い手続ではないかと思います。
この手続では、ご自身が考えていることや感じていることを安心してお話しください。私たち司法書士があなたの話をしっかりお聴きし、あなたが抱えている不安やご事情を受け止め、話し合いを進めさせていただきます。その上で、相手の方の話も私たちと一緒に聴いていただけると助かります。その中でご自身がどうしたいのかをじっくり考えていただきたいと思います。
ご自身がしっかり話をし、相手の方の話もしっかり聴いていただく。それを繰り返すことで、お互いに解決のためのより良いアイデアが生まれてくるものと思います。
詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎048・863・7861)へお尋ねください(埼玉司法書士会はなしあい解決支援センター“いっぽ”へは☎048・862・6600)。
(司法書士 岡村真志)
埼玉新聞 令和6年2月8日から転載